2017/7/17, Mon.

 猫、アパートの駐車場。立ち姿のこちらにやや怯えながらも、走らずのそのそと行って車の下に入る。

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 夜、木の間の下り坂に黒い影、猫である。右の木立のなかに入っていったのを、そのあたりまで来てから探せば、黒い体が闇のなかにほとんど溶けこんで見分けが付かない。止まっているとじきに斜面を林の奥へ駆け上って行って、ようやく視認される。

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 街灯の光に、飴のようにコーティングされた百日紅の、濡れた紅色。

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 蛾、街灯に繰り返し突進し、ぱちぱちと翅のぶつかる音を立てる。その音のために、姿を直接見ずとも、頭にかすかな不快が侵入してくる。

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2017/7/12, Wed.

 ラベンダーに蜜蜂。風に押されて体の先端のみで花に掴まっているが(蜂の尻と花のあいだに僅かにひらいた空間)、振り落とされることなく耐え抜く。

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 風に乗って飛ばされる落葉のような雀。ほとんど意志のないかのような、受動的とも思える軽さで宙を走り、塀に移ると、続けてすぐに向こう側に下りて見えなくなる。

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 濃緑に整然とまとまった木のなかに数枚だけ、茶色に枯れた葉の集まりがある。風に吹かれて散らばるのはしかし、枯葉ではなくて、周囲の緑のほうである。

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 夜道、巨大な虫かロボットのような影。幼子が足を左右に広げながら親の胸に抱きつき、ぶら下がっている。

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2017/7/10, Mon.

 電線の上に二匹の鳥、雀とも鵯とも付かない体躯。青空を背後に、明るさを受けて白っぽい。尻の方をふるふると揺らす。

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 草むらから自転車に乗った女児二人が出てくる。一人は早々と道を渡ったが、もう一人はこちらの前で、道路とのあいだに挟まった傾斜をうまく上れずに停まっていた。

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 側溝の蓋の隙間から突き出した烏の羽、輪郭がほつれており、思いのほかに長い。

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 夜、駐車場の真ん中に猫が寝そべっている。広々とした感じ。建物の蔭の端が掛かるなかに、腹の毛の白さのみが浮かぶ。

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2017/7/8, Sat.

 黄昏れ、街道。早く早く、と急かす子供の声。叫び。過ぎざまに覗くと、花火をやっている。漂った煙の向こうに明かる小さな火と、その周囲に広がる緑色の光。

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2017/7/4, Tue.

 女子中学生、横断路前の段に腰掛けて、迎えでも待っているのか、道の先にじっと目を飛ばしている。膝の上に白い布の袋。編み物を抱く老婦人の佇まい。

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2017/7/3, Mon.

 歩廊から見下ろしたコンビニ前のベンチ、男が二人座った周りに(そのベンチにはいつも、素性のあまり確かでなさそうな人々が昼間から集まっている)、何か餌でも撒いたか、鳩が群れて取り囲んでいる。男の横にビールの缶。

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 正面から向かい合った鳩、膨らんだ喉元を蠢かせる。野菜の表皮を思わせるような質感の紫色。

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 二羽の鳩、カップルのようにぴったりと寄り添い、一匹がもう一方の顔の周辺をしきりにつつく。恋人に情熱的にキスを浴びせる男の似姿。相手の方は嫌がるでもなく、涼しい様子で成すがままに任せている。

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2017/7/2, Sun.

 坂道、ガードレールの向こう、下り斜面いっぱいに茂る夏草のなかに、オレンジ色の曲線的な花一つ。

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 窓枠に子犬が乗っている。過ぎていくこちらと視線を合わせ、身を立てて直角三角形を描くが、吠えはしない。

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